この映画は・・・3
鉄の精錬が始まった時代を背景に、生きるために森を焼く人間たちと、森を死守せんとする神々の抗争劇を描いた本作は、確かに娯楽作品とは言い難い。
舞台装置の構造は、宮崎駿の名を世に知らしめた『風の谷のナウシカ』と大差なく、人物配置にしても同様なのだが、作り手の位相はその頃とは明らかに異なる。
「生きるために自然を破壊せねばならない人間の業」という共通のモチーフを前に、『ナウシカ』が「節度を持った共存の可能性」を示唆したのに対し、『もののけ姫』は材料を提示しただけでなんの結論も出してはいない。
「安易な結論は出せない」というのが結論と言ってもよく、その閉塞感をして絶望と呼ぶなら、本作が絶望を語っただけの物語と評されるのも間違いではないでしょう。
が、それをもって宮崎駿は変節したという言い分には、異議を唱えたい。