この映画は・・・4
『ナウシカ』の原作コミックを読むと、本作が作られるべくして作られたのだということがよくわかります。
映画版で語られた希望は完膚なきまでに打ち砕かれ、それでも生きてゆかねばと、血を吐くように吐露するナウシカ。
十年に及ぶ長期連載の間、戦後民主主義は腐敗を露にし、エコロジー運動はテロ化して、現実社会においても希望は絶望に転じていったわけだが、宮崎はこの状況に背を向けず、一切の妥協を排してあるべき人間と自然の関係を追求した。
なまじの戯作者なら避けて通る道を、彼はナウシカやアシタカのごときひたむきさをもって突き進み続けたのです。
その凄惨さと思い詰めようは、本作の比ではない。
この作者が再び同じテーマに挑戦したら、それは凄まじいことになるであろうという当然の帰結が『もののけ姫』であり、そこに変節という言葉は当たらない。