この映画は・・・5
もののけ姫
描く対象と真摯に向き合い、突き詰めずにはいられない宮崎駿の性質はなんら変わっておらず、ただ思考の前進が本作を本作たらしめたのだと当協会は分析する。
その結果は、広く世間に受け入れられました。
同業者たちの野次をよそに、本作は邦画の劇場動員記録を塗り替え、『千と千尋の神隠し』から『ハウルの動く城』へと連なる宮崎ブランドの価値を不動のものにした。
『エヴァ』同様、時代の気分にマッチしたからという言い方もあるが、当協会としては作り手の「本気」が観客に伝わった結果だと信じたい。
技術のみを駆使して、口当たりのよい物語を紡ぐ世過ぎの仕方もあろう。
でもそれではつまらないし、娯楽のバランスを踏み越えてでも作者が本音を語ってこそ、作品に意想外の力が宿るものです。
還暦に近かった宮崎がそれを実践したことに対する畏敬と併せて、本作が教えてくれることは少なくない。